マツダが2月後半に発売した改良版「CX-60」の報道陣向け公道試乗会(静岡県)に参加した。「CX-60」は、FR(フロントエンジン・後輪駆動車)の新型プラットフォームを持つ「ラージ商品群」の第1弾として、2022年に華々しくデビューした。ところが、一部のユーザーから「乗り心地」に対する不満が出るなどして、早期の商品改良を余儀なくされた。一方、「CX-60」の登場によって姿を消すかもしれないと市場で不安が広がった「CX-5」については、今年中に新型登場との噂もある。マツダ車の現状と今後について、考察する。 【写真】改良版「CX-60」のサスペンションをしたから覗くとこんな感じ。乗り心地は大幅に改善した (桃田 健史:自動車ジャーナリスト) まずは、マツダR&Dセンター横浜(横浜市神奈川区)を起点に「CX-30」で走り出した。 CX-30は、マツダが「スモール商品群」と呼ぶFF(前輪駆動車)の新型プラットフォームを持つモデルで、パッと見た目はSUVのようだが、実際には「マツダ3」をベースにしたクロスオーバーという商品だ。 今回、改良版「CX-60」を試乗する上で、マツダの「CX」構想を肌感覚で理解するため、あえてCX-30を選び、首都高速道路から東名高速道路を通り富士山の裾野に向かった。 これまで何度もCX-30には試乗しているが、改めてスポーティかつ柔軟性が高い乗り心地であることを実感した。 これは全てのマツダ車に言えることだが、道路の路面の振動を遮断せず、タイヤ、車体、シート、ハンドルなどにあえて伝えているのは、振動はドライバーがクルマを意のままに操るための「情報源」だと定義づけているからだ。 その度合いが強過ぎると、「足(サスペンション)が硬い」とか「ゴツゴツした乗り心地」といった印象をドライバーに与えてしまう。そのため、前述にようにスポーティ性と柔軟性を上手くバランスされることで、マツダが提唱する「走る歓び」を実現している。 ボディサイズは、全長4395mm×全幅1795mm×全高1540mm、ホイールベースが2655mm。排気量1.8Lディーゼルターボで、燃費はWLCTモードで19.5km/Lだ。 心配していた、東名高速・綾瀬周辺の自然渋滞は2kmほどと短く、予定通りCX-60試乗会場へ到着した。